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広島県9条の会ネットワークは11月2日、学習院大学の青井未帆教授を招き、憲法のつどいを開催する。
青井さんの主な研究テーマは憲法上の権利の司法的救済、憲法9条論。著書に『憲法を守るのは誰か』(幻冬舎ルネッサンス新書)、 共著に『改憲の何が問題か』(岩波書店) 、『憲法学の現代的論点』(有斐閣)、『論点 日本国憲法―憲法を学ぶための基礎知識』(東京法令出版)などがある。 つどいの概要は次の通り。
11月2日(土)13:30~15:30
▼広島・原爆資料館(東館地下)メモリアル・ホール
▼参加費999円/障がい者・高校生以下無料
手話通訳・保育あり(保育は要予約)
■主催 広島県9条の会ネットワーク
連絡先 石口俊一法律事務所 082-222-0072
広島市中区八丁堀4-24-5F
■共催 ひろしま医療人・九条の会
連絡先 広島県保険医協会内 082-262-5424
広島市南区金屋町2-15
(ひろしま医療人・九条の会結成7周年記念を兼ねる)
●13.10.21
広島の市民、マスコミ関係者らが10月15日、特定秘密保護法案に反対する集会を広島平和記念資料館東館で開き「SТОP!国家秘密法 広島ネットワーク」を結成した。約100人が参加。地元選出の国会議員へ反対を求める嘆願書を送る活動を広げていくことを決め、共同代表に広島弁護士会の山田延廣弁護士ら4人を選んだ。
集会では元記者で広島弁護士会秘密保全法制問題対策プロジェクトチーム幹事の尾山慎太郎氏が人権、知る権利、表現の自由を侵す危険な法案と指摘。政府、官僚が適用を意のままにして厳罰で国民を萎縮させる狙いもあると述べた。オスプレイ、原発問題に取り組む市民や地方公務員らが法案への懸念を表明した後、「この悪法の成立阻止へ向けて全力を尽くす」とする反対アピールを採択した。
山田弁護士以外の共同代表は次の通り。新田秀樹・オスプレイ配備と米軍機低空飛行を許さない市民ネット事務局長▽佐野隆幸・広島県マスコミ文化労組共闘会議事務局長▽沢田正・日本ジャーナリスト会議広島支部事務局長。
●13.10.21
広島マスコミ九条の会は8月19日、今年度第1回の運営委員会を開き、9条をめぐる情勢の討論、今後の課題を討論した。「当面の情勢」では、安倍内閣が、解釈改憲や教育の反動化に向けて突っ走る可能性が高く、極めて危険な状態と分析。集団的自衛権の行使容認と首相の諮問機関「安保防衛懇談会」が年内目標に出す報告や「内閣法制局長官人事」の国会同意、国家安全保障会議(日本版NSC)や防衛計画大綱見直し、原発再稼働、TPP交渉、消費税引き上げ、道徳教育の必須化や「安倍好みの歴史認識」押しつけなどに反対する運動との連携構築が急務であることが意見として出されました。
会は現在、会員165人、設立後の退会者27人、死亡15人で、改めて現役労働者を含め会員拡大に取り組むことが確認されました。
このほか、県9条ネットとの連携、ニュース(会報)発行、小規模集会「つどい」の企画立案と設定について意見を交換しました。
言論・表現問題(21条、教科書選択問題、はだしのゲン、麻生発言、秘密保全法etc)では、MIC(マスコミ文化労組共闘会議)、文団連などとの連携を強めていくことになりました。
●13.10.21
安倍改憲内閣の暴走が続くもとで「広島マスコミ九条の会・8周年記念のつどい」が6月1日、中区加古町の広島工大広島校舎で開かれた。広島県9条の会ネットワークの「護憲・原発NO」を訴える「全県40万枚ジャンボビラ配布運動」の決起集会を兼ね、60人が参加した。
「つどい」では「上関原発反対運動の現状」を上関町、祝島島民の会の山戸孝さんが報告、元朝日新聞論説委員で専修大学教授の藤森研さんが「改憲動向とマスコミの深層」と題して講演した。
上関原発について山戸さんは、自民党政権の復活以降、再び動きがあることを指摘、住民意思を示す選挙の大切さをかみしめた報告だった。藤森さんは、「改憲をめぐる新聞論調」を新聞社説から分析、地方紙を含め「護憲的論調」が社数で4分の3、発行部数で60%を占めたと話し、「九条の会」など市民運動の成果と評価した。また、「96条改憲論」は「憲法の立憲主義を破壊する暴挙」と糾弾、断固阻止を訴えた。
ジャンボビラの取り組みでは、県ネットの利元克巳さんが計画概要を報告。「40万枚を配って改憲論を葬ろう」と呼びかけた。このほか、「九条の会・みはら」の上羽場隆弘さん、「九条の会・広島県北」の塚本勝彦さん、「九条の会・牛田」の田村栄子さん、「西区九条の会連絡会」(広島市)の濱口逸記さんから、それぞれ意気込みあふれる報告があった。
「つどい」の中で行われたマスコミ九条の会の総会は、太田事務局長が総括と会計実績を報告、幹事の増強で「代表不在」を補いたいとし、新年度の役員と運動方針を確認した。
●13.6.17
6月9日に全県で取り組む「「40万世帯各戸配布」のジャンボチラシが28日完成し、県9条ネットワークは、広島市役所の市政記者クラブで会見を行い、「配布行動」について説明をしました。
会見には県ネット石口俊一事務局長のほか事務局から利元克巳、高瀬均、澤野重男の3人が出席、取材側は中国新聞、テレビ新広島、しんぶん赤旗などでした。
はじめに石口事務局長が「行動」の概要を説明、記者からは「九条の会が原発についても取り組むのはなぜか?」「憲法96条改正にはどういう意味があると考えるか」「全県世帯数の3分の1としたのはなぜか」などの質問がありました。
ジャンボチラシは28日から、各地の配達拠点に運びこまれており、今後、担当する各九条の会に届けるか、各九条の会が受け取りに行くことになっています。
●13.5.29
「九条の会メールマガジン」165号によりますと、震災・原発で苦難を強いられている福島県の元市町村長らが5月11日、「市町村長九条の会」を立ち上げました。東北地方ではすでに青森、秋田、宮城に市町村長九条の会があり、東北全県で同様の会をつくることを目指しています。以下、会の発足を伝える「メールマガジン」の記事です。
福島県市町村長九条の会が5月11日発足し、同日午後、福島県九条の会が開催した「憲法塾」第2日目の終了後に発足式を開催して受講者にお披露目しました。
福島県市町村長九条の会には町長経験者4氏と現町長1氏が参加。発足式には伊藤寛(元三春町長)、大橋芳啓(元霊山町長)、佐藤力(前国見町長)、樋口光雄(元保原町長)の各氏が出席し、代表して伊藤寛氏があいさつ、大橋芳啓氏が「福島県市町村長九条の会発足にあたって」と題するアピール文書を発表しました。
アピールは、「憲法9条は、第二次世界大戦の惨禍を踏まえて日本国民が選択した『我が国の基本的あり方』を示したもので、世界の人々、とりわけ多くの人命を殺戮し国土を侵犯したアジアの隣人や戦禍に倒れた同胞たちに対する厳粛な制約でもある」と指摘。日本を「戦争をする国」に変えようとする改憲勢力の策動にふれて、「平和憲法を廃棄して『国防軍』を創設する改憲案などに与するわけにはいかない」と述べています。
そのうえで、「地域の発展と地域住民の福祉と安寧を目指すことを本旨とする地方自治に携わってきたが、地域住民の安全と安心を守るためには平和の維持こそが絶対的前提条件であり、その立場からも憲法9条を守ることは不可欠」として、「最近の我が国の危機的な憲法状況に鑑みて、また、平和裏の地域自治の一層の発展のためにも、ここに福島県市町村長九条の会を立ち上げることにした」と宣言しています。
福島県九条の会では、東日本大震災・福島第一原発事故の前から「首長九条の会」を組織する準備を始め、呼びかけ人を募る活動を進めていましたが、大震災・原発事故の発生で準備活動の中断を余儀なくされ、2年を経過してようやく発足にこぎつけたものです。
発足式で経過報告した真木實彦県九条の会事務局長は、発足が遅れる中で高齢の賛同者(元市長)が複数亡くなり5人でのスタートとなったと説明。「小さく産んで大きく育てる活動」を期待していると述べました。
●13.5.29
広島市西区九条の会連絡会の「5周年のつどい」が18日、西区観音町の生協健康プラザで開かれ、250人が参加しました。「憲法こそ 平和の力」と名付けられたつどいでは広島マスコミ九条の会顧問の平岡敬さん、児童文学者の那須正幹さんが講演しました。
平岡さんは、1959年のいわゆる「伊達判決」の上告審を前にして、最高裁長官がアメリカ公使に公判日程や裁判の見通しを秘密裡に伝えていたことを取り上げ、こうした関係は今でも続いているのではないか」と対米協力を優先させる歴代政府や司法を批判しました。
また、読売新聞と安倍首相の連携を象徴的に示す、東京ドームでの「長嶋、松井国民栄誉賞セレモニー」に「96」の背番号をつけて登場した安倍首相のパフォーマンスを例にあげ、メディアと政治の関係に目を向けるよう訴えました。
那須さんは、「忘れやすい日本人」について話し、民話などの形で戦争体験や被爆体験を継承していくことを呼びかけ、戦争の本質、国民を守らない軍隊に触れ、自らの著作を読み上げながら、物事の本質を見極めようと呼びかけました。
つどいの最後に、県9条ネットワークの石口俊一事務局長が、6月9日(日)に一斉に行う「40万世帯ジャンボビラ配布行動」について準備状況を報告、各九条の会からの参加者応募、カンパへの協力を訴えました。
このつどいは、「ジャンボビラ配布行動」の意志統一集会と位置づけ、マスコミ、うたごえなど西区以外の九条の会からも会員らが参加しました。
●13.5.20
憲法記念日の5月3日、憲法集会「マイライフマイ憲法」が中区の広島県民センターで開かれ約600人が参加しました。
実行委員長の石口俊一弁護士は「自分が総理のうちに憲法を変えると言っていた安倍首相が昨年12月に復活した。自民党が昨年4月に発表した憲法草案の危険な中身を多くの人に知らせていこう」と開会あいさつ。第1部では講談師の神田香織さんが「はだしのゲンを語って30年、いまフクシマは」と題して記念講演をしました。
ミュージカルは今年で20回、テーマは「憲法の底力-9条改正はイケン」。国歌斉唱の強制、派遣労働の規制緩和、秘密保全法による取り締まりなど笑いをまじえながら鋭く風刺しました。
●13.5.9
広島マスコミ九条の会は6月1日(土)、結成8周年のつどいを開く。つどいは、6月9日を中心に行われる「改憲許すな、原発再稼働反対」のジャンボチラシを県内40万世帯に配布する行動の「キックオフ集会」としても位置づけており、県9条ネットワークの人たちにも参加を呼びかけている。
つどいのメインテーマを「96条改憲、原発再稼働―この流れを変えよう」とし、専修大学教授(元朝日新聞論説委員、元新聞労連委員長)の藤森研さんに、「改憲動向とマスコミの深層」を、山口・祝島島民の会の山戸孝さんには「上関原発反対運動の現状」を話していただく。
また、報告、講演終了後、広島マスコミ九条の会の総会を開き、年度方針や新役員を決定する予定。
つどいの概要は、次の通り。
■日時 : 6月1日(土) 13:30~16:30
■会場 : 広島工業大学広島校舎 2階 201研修室
広島校舎は平和大橋西詰から元安川沿いに南へ100m
082-249-1251
■参加費 : 500円(資料代) 学生:無料
<藤森さん、山戸さんの紹介>
藤森 研さん ― 1949年生まれ74年朝日新聞入社。東京・名古屋社会部、
朝日ジャーナル編集部、論説委員を経て2010年退職。
現在専修大学教授
山戸 孝さん ― 1977年生まれ。祝島「島民の会」事務局次長
●13.5.9
「ならぬものはならぬ!」 ― 県9条ネット石口事務局長
現在、まるごと改憲を推し進める政治勢力が大きくなりました。軍隊を認め、基本的人権を狭め、国民主権を危うくしそうです。このままでは7月の参議院選挙でも改憲賛成派が大きくなるかも知れません。しかし、残念ながらテレビや大手新聞は、私たちの生存、子どもや孫の命に関わるこの重大な問題を十分には取り上げていません。そこで、私たちが学習会などで学ぶだけでなく、半歩踏み出して、「改憲は戦争への道、原発推進は将来の命を奪うこと」を知らせる活動が、とっても重要になります。
県内の九条の会のみなさん、「九条の会アピール」が発表された6月10日にちなんで、6月9日(日)を中心にした6月一杯、思わず手に取って見てしまう「改憲ノー、原発ノー」の読みやすく分かりやすい、そしてポイと捨てにくい『ジャンボチラシ』を県内40万世帯に配ろう、という活動への参加を呼びかけます。
このチラシを配る先は、九条の会の講演会には来ない人、景気が良くなるなら改憲もいいかなとか、原発がないと困るのではと思っている人達に対してです。
九条の会を中心に、他の方々と連携を取れば、6月中には、広島市内、県北、東部、西部など県内全域で、周りの人達の自宅へ配布することは十分に可能です。
私たちが重大な岐路に立っていること、これからの世代に責任を果たすためにも、「ならぬものはならぬ」と声を上げ、知らせていきましょう。
ジャンボチラシ配布の詳細は改めてお知らせいたします。
(広島県9条の会ネットワーク 事務局長 石口俊一)
●13.5.8
井上正信弁護士が文団連で講演
2月28日、広島県文化団体連絡会議(広島文団連)は、尾道総合法律事務所の井上正信弁護士を講師に迎え、「ヒロシマ学習」を開催した。井上弁護士は「戦争国家体制へと導く明文改憲、解釈・立法改憲~私たちの対抗戦略」と題し、現在の憲法をめぐる状況を分かりやすく話した。井上氏は現在、日弁連憲法委員会の副委員長を務めている。参加者は27人。
護憲派」の弱点は
井上氏は憲法改正問題の基礎として、9条改正にどう向き合うか」と問題提起。この問題が日本国内だけの問題ではなく、国際問題であり、とりわけ中国とどのように関わるかということと重要な関係があることを強調した。そのうえで、「護憲派」と言われる私たちが持っている弱点に目を向け、これを克服していくよう呼びかけた。
私たちは「戦争はすべきでない。9条は先駆的意義がある。人類の理想だ」などと言っているが、こうした抽象論、感情論だけでは、今の情勢に太刀打ちできないことを自覚すること。また、改憲派が拠って立つ日米同盟基軸論が、安全保障についての選択肢を恐ろしく狭めるものであり、アメリカの政策を無批判に受け入れ、日本国民が自分の頭で考えなくなることを指摘した。そして、自民党が憲法を変えようとする目的は、一言でいえば、日本を「戦争ができる国」にすることであり、そのために集団的自衛権の行使を可能にすることであるとした。
集団的自衛権行使とは
井上氏は、ソ連のアフガニスタン介入や、アメリカのベトナム、イラク戦争の例を挙げ、過去の「集団的自衛権行使」が、決してきれいごとではなく、他の民族や国家への侵略であり、血に塗られた戦争であったことを想起すべきだと話した。また、国際的に認められた「自衛権の行使」には「急迫不正の侵害」があることなど3要件が前提であり、「集団的自衛」の名で自衛隊が行動することは憲法で認められていないこと。さらに、日本がこれまでとってきた専守防衛政策や武器輸出3原則を放棄しようとしており、「敵基地攻撃能力の保有」にまで議論があることに警鐘を鳴らした。
単なる名称変更ではない「国防軍」
自民党が「憲法草案」で、自衛隊を国防軍としていることについては、現行憲法では交戦権は認められておらず、自衛隊法や周辺事態法などでも、自衛隊の活動は「個別的自衛権行使」の枠内にとどまっていた。この制約を取り払おうというのが「国防軍」であり、単なる名称の変更ではないとした。そして、憲法改正以前にも法案が提出されようとしている「国家安全保障基本法」に注目する必要があるとして、法案を解説した。国家安全保障基本法案には、秘密保全法の制定や国民の協力努力義務、法制上・財政上の措置、集団的自衛権行使、武器の輸出など「憲法草案」を先取りする内容となっている。これらの内容を持つ法案は明らかに憲法違反だが、自民党は内閣法制局の法案審査を避けるため、内閣ではなく議員提案で国会に提案しようとしており、井上氏はこれを「裏口入学壊憲!」と強く批判した。
この後、自民党の改憲草案について逐条的に問題点を解説、現下の中国や北朝鮮による「脅威に対し、丸腰では日本を守れないのではないか」という、国民が持つ疑問について、抑止力論と脅威論はコインの裏表の関係にあり、抑止力、脅威論だけでは紛争を解決できないとし、「自分の国の安全のためにとった政策が、相手国に緊張を与え、相手国の対抗措置により逆に事故の安全が脅かされる」という「安全保障上のジレンマ」を克服することが必要と説いた。
平和を守ったのは安保条約?
このほか「日本の平和と安全を守ったのは9条ではなく、自衛隊安保条約だという改憲派の主張をどう論破するか」「安倍内閣はなぜ改憲を急ぐのか」「日米同盟に代わる選択肢はないのか」などの疑問に答え、最後に、欧州安全保障協力機構(OSCE)を紹介し、「歴史問題」の解決などを通じて、北東アジアに恒久的な安全保障の枠組みを作ることを目指しながら、9条をはじめとする憲法問題を考えていくことの重要性を強調した。
●13.4.5
広島マスコミ九条の会 顧問 平岡 敬
日本の行方を案じながら迎えた2013年―。手放しで「おめでとう」は言えない気分である。
野田前首相の「国民に信を問う」とは、いったい何だったのか、と今更のように思い返してみる。あの解散は、元々は消費増税の是非を問うためであったはずである。ところが、昨年12月の総選挙では、国防軍創設、基本的人権の制限を含む改憲を掲げた自民党の圧勝に終わった。
これが民意なのか、といぶかるものの、こういう結果を招いたのは、消費増税はもとより、原発、沖縄の基地、TPPなど、重要な争点が巧みに隠されてしまい、国民的議論にならなかったからである。
自民党の勝利は、民主党への失望と小選挙区制度の欠陥がもたらしたものであるとしても、争点をぼやかし、日本の未来を考える大局的見地からの報道をしなかったマスコミの責任も大きいと言わざるを得ない。
日本の将来と国民の安全を左右する問題に向き合わず、「第三極」をはやす一方で、選挙戦半ばで自民党圧勝の予測を流すなど、政局報道に終始したことが、総選挙の性格をあいまいにしてしまった。
折しも尖閣諸島をめぐって、日中の対立が激化している。中国は、米国の出方を窺いながら、局地戦を覚悟しているかもしれない。
日本の国粋主義者は「中国に屈するな」と気勢をあげる。この状況は1930年代の日中戦争前夜の日本社会を思い起こさせる。しかし、私たちは戦争を否定する。武力で日本を守ることは出来ない。難しいことだが、あくまでも外交交渉で解決すべきであると考える。
国粋主義者は、それを弱腰だとののしる。彼らはアジアの人々を蔑視し、内に向かっては勇ましい言辞を弄するが、米国の基地占領については何も言わない。むしろ、領土問題で近隣諸国との緊張を高め、北朝鮮のロケット打ち上げを日本への脅威と叫んで、沖縄基地の固定化やオスプレイ配備を容認する空気を醸成している。政府には地位協定の改定に取り組む気配すらない。この構図は、日本の独立は擬似的であり、米国による実質的な日本占領、日本支配がまだ続いていることを示している。
安倍政権は日本をどこへ導こうとしているのだろうか?安倍首相が強調する「日米関係の立て直し」「日米同盟の強化」とは、米国への従属を一層強めることにほかならない。
安倍政権は、7月の参院選挙までは反動的な公約の実現を急がず「安全運転」を心掛けるだろう。しかし、もし参院選でも勝利したとすれば、米国の画策する対中包囲網の形成に加わり、軍備増強、集団的自衛権の行使、教育への介入、改憲へ進むことは間違いない。
既に安倍内閣の閣僚たちは、原発の推進、沖縄基地の強化、TPP参加などを公然と言い始めている。「アベノミクス」という目くらましに惑わされてはならない。公共事業への大盤振舞いで、わが国の借金はさらに増えることであろう。
国民の関心事である原発、沖縄、TPPなどの根っこはつながっている。つまり、これらはすべて米国の世界戦略と深く結びついている。それゆえ、米国に従属する安倍政権は、米国の意向に従ってこれらの問題に対応するしかない。私たちの今年の活動目標は、まさしく安倍政権の目論見を打ち破って、「脱日米同盟」を実現することである。それによって初めて原発、基地、TPP問題解決の糸口が見えてくるはずである。
日本は重大な曲がり角に直面している。「戦争を起こしてはならない」、「戦争を起こすものに加担してはならない」との決意をもって結成した広島マスコミ九条の会も正念場を迎えている。
このところ、マスコミへの国民の信頼を損なう出来事が相次いでいる。iPS細胞をめぐる誤報、顔写真の取り違え、「週刊朝日」の人権侵害等々、ジャーナリズムの現場で繰り返される不祥事を見る限り、マスコミの病根は深い。マスコミが信頼を取り戻すには、現状追認の報道姿勢を改めて、権力の暴走を監視し、真実の報道に徹しなければならない。
いま急速に進む日本の右傾化にブレーキをかけるために、私たちはマスコミの衰弱、劣化に警鐘を鳴らすとともに、反骨のジャーナリストの奮起を促し、励まして行きたい。戦争への道を進むのも、平和への道を切り開くのも、マスコミと教育のあり方次第である。憲法の理念を守り、全国の九条の会と力を合わせて、誰もが安心して暮らせる社会の実現をめざして、既成政党、党派の枠を超えた対抗軸をつくって行きたいと思う。 (広島マスコミ九条の会ニュース第44号より)
●13.3.5